特定技能ビザのフィリピン人材を月給30万円超で正社員採用——埼玉の型枠工事A社の外国人採用成功事例

この記事のサマリー

  • 企業概要:建設業(型枠工事)/埼玉県川口市
  • 課題:型枠組立の実務をすぐ任せられる即戦力が、地域の求人市場だけでは確保できなかった
  • 成果:特定技能(建設業)を保有するフィリピン国籍の人材を月給30万円〜50万円の正社員として採用。求人には全国から27名の応募が集まり、他県からの引っ越しを前提とした応募も獲得

A社の事業概要

A社は埼玉県川口市を拠点に、マンションやビルなどコンクリート構造物の型枠工事を手がける建設会社です。首都圏の建築需要を支える現場を長年にわたって担ってきました。

型枠組立は図面通りの精度が求められる技能職であり、経験の有無がそのまま施工品質と工期に直結します。だからこそ、人員の確保は同社にとって経営の根幹に関わるテーマでした。

導入前の課題

課題1:型枠工の高齢化と、若手の応募がゼロに近い状態

建設業のなかでも型枠工は熟練の技能が必要な一方、若年層からの応募が集まりにくい職種です。A社でも現場を支えるのはベテラン層が中心で、次世代の担い手をどう確保するかが数年来の課題になっていました。

課題2:地域内の求人だけでは母集団が形成できない

一般的な求人媒体に掲載しても、応募は近隣エリアの限られた人数にとどまります。「川口市周辺に住んでいて、型枠の経験がある人」という条件で探すと、そもそも母集団がほとんど存在しないという構造的な壁がありました。

課題3:外国人採用は「言葉の壁」を理由に踏み切れなかった

外国人材の採用は選択肢として認識していたものの、「現場の指示が通じなかったら安全に関わる」という懸念から本格的な検討には至っていませんでした。在留資格の種類ごとにできる仕事が違うことも、判断を難しくしていた要因です。

ヨロワーク導入の決め手

A社がヨロワークを選んだ最大の理由は、母集団の規模と、その属性の広さでした。

ヨロワークには246の国と地域から40万人以上の外国人材が登録しており、全国47都道府県で4,000社以上の導入実績があります。登録者は全員が日本在住で就労資格を確認済みのため、「応募が来たものの、そもそも働けない在留資格だった」という取り違えが起きにくい設計になっています。

さらに決め手になったのが、登録者の約75%が転居に前向きという点でした。地元だけで探せば母集団ゼロの職種でも、全国を対象にすれば話は変わります。実際A社の求人には、東京・千葉・神奈川・福岡・大阪など全国から応募が集まりました。

加えて、登録者の約70%が就労制限のない在留資格を持ち、約70%が20〜30代という年齢構成も、若手の担い手を求めるA社のニーズと合致していました。スカウト機能の平均応募率3.2%という実績も、待つだけでなく攻めの採用ができる根拠として評価されています。

導入後の成果

A社が掲載した「型枠組立スタッフ/正社員/月給30万円〜50万円/転勤なし」の求人には、27名の応募が集まりました。注目すべきは応募者の在留資格の内訳で、特定技能保有者だけでなく、技術・人文知識・国際業務が9名、日本人の配偶者等が5名と、幅広い層から反響がありました。「稼げる」条件が明確な建設求人は、在留資格を問わず強い訴求力を持つことが実データで確認できた形です。

最終的に採用が決まったのは、以下の人材でした。

  • 在留資格:特定技能(建設業)
  • 国籍・年齢・性別:フィリピン/33歳/男性
  • 日本語能力:日常会話レベル(JLPT N3・2024年12月取得)。加えて英語はビジネスレベル
  • 従前の居住地:滋賀県栗東市(埼玉県への引っ越しを前提に応募)
  • 月給:30万円〜50万円(正社員)
  • 入社日:2026年8月2日
  • 応募経路:直接応募(スカウトを待たず、求職者側からのアプローチ)

特定技能(建設業)の保有者は、技能評価試験と日本語試験の双方をクリアした人材です。つまり在留資格そのものが、実務能力と最低限の日本語力を担保する証明書として機能します。今回の採用者はそこにJLPT N3と英語ビジネスレベルが加わり、現場のコミュニケーションはもちろん、将来的に多国籍のチームができた際のハブ役としても期待できる構成になりました。

担当者からのメッセージ

「正直なところ、最初は”言葉が通じないと現場が危ない”という不安が先に立っていました。でも実際に応募を見てみると、技能試験も日本語試験も通っている方が普通にいる。特定技能というのはそういう資格なんだと、応募が来て初めて実感しました。今回入社してくれた方は、日常会話レベルの日本語に加えて英語も話せる。むしろうちの現場のほうが助けられる場面が出てくるかもしれません。それと驚いたのが、遠方から引っ越してでも来たいという応募が普通にあることです。地元で探していた頃は考えられなかった。採用の対象エリアを日本全国に広げられたことが、一番の変化でした」

まとめ:この事例から学べる3つのポイント

  1. 特定技能(建設業)は「実務即戦力」の証明書として使える|技能評価試験と日本語試験の両方をクリアした人材であるため、採用側は一定の実務能力と日本語力を前提に検討できます。「言葉の壁」の懸念は、在留資格の中身を理解することで大きく解消します。
  2. 条件を明確にした求人は、居住エリアの壁を越える|「転勤なし・月給30万〜50万」というキャリアパスの見える好条件は、他県からの引っ越しを前提とした応募を引き寄せました。ヨロワーク登録者の約75%が転居に前向きであり、地元で母集団が作れない職種ほど全国募集の効果が大きくなります。
  3. 「稼げる」建設求人は在留資格を問わず訴求する|27名の応募のうち、技術・人文知識・国際業務が9名、日本人の配偶者等が5名と、特定技能以外の層からも強い反響がありました。ターゲットを狭く設定しすぎず、条件そのものの魅力で母集団を広げる設計が有効です。