日本語「単語レベル」のベトナム人材を月給29万円以上の正社員に採用、応募43件の76.7%が県外から——静岡の金属リサイクル製造H社の外国人採用成功事例

この記事のサマリー

  • 企業概要:静岡県で金属(アルミ)のリサイクル・製造を手がける工場を運営するH社
  • 課題:地方立地の製造現場で応募が集まらず、「日本語が話せないと現場は任せられない」という前提が採用の幅を狭めていた
  • 成果:日本語が「単語で話せるレベル」のベトナム人材(25歳・男性/日本人の配偶者等)を月給29万〜37万円の正社員として内定。2026年10月1日入社予定。求人には43名の応募が集まり、そのうち76.7%(33名)が静岡県外からの応募だった

H社の事業概要

H社は静岡県内でアルミを中心とした金属のリサイクル・製造を行う工場を運営しています。回収した金属を選別・加工し、再び素材として供給する、いわゆる資源循環を支える製造業です。

今回募集したのは、アルミリサイクル工場の製造スタッフ(正社員)。未経験でも応募可能な、長く安定して働けるポジションとして求人を出していました。

導入前の課題

地方立地ゆえに、そもそも母集団が作れない

製造業の現場採用は、工場の立地に人材の供給が大きく左右されます。都市圏から離れた工場では、地域の求職者だけを対象にしていると応募が数件で止まり、選ぶ以前に「集まらない」状態になりがちです。H社も、地元での募集だけでは正社員の製造スタッフを安定して確保できない状況にありました。

「日本語が話せないと現場は任せられない」という前提

外国人採用を検討する際に必ず出てくるのが日本語能力の問題です。特に製造現場は安全管理が伴うため、「会話ができないと危険なのではないか」という懸念から、日本語要件を高く設定してしまいがちです。しかし要件を上げれば上げるほど、母集団は細くなります。

在留資格の制限が判断を難しくしていた

「工場の外国人採用」と聞くと特定技能や技能実習のイメージが強く、受入れの手続きや制度理解のハードルが高く感じられます。就労時間や職種に制限のある在留資格が混在するため、どの人材なら正社員としてフルタイムで長く働けるのか、判断が難しいという声も多く聞かれます。

ヨロワーク導入の決め手

H社が外国人求人メディア「ヨロワーク」を選んだ理由は、母集団の規模とその「中身」でした。

  • 登録者40万人以上・246の国と地域:日本在住・就労資格ありの外国人求職者が登録しており、国籍や日本語レベルの幅が広い
  • 就労制限のない在留資格が約70%:永住者・定住者・日本人の配偶者等など、職種・時間の制限を受けずにフルタイム勤務できる層が母集団の主軸を占める
  • 転居に前向きな登録者が75%:地方の工場求人でも全国から応募を集められる
  • 20〜30代が約70%:製造現場で長く育てられる年齢層が中心
  • 導入企業4,000社以上(全国47都道府県)/スカウト平均応募率3.2%:待つだけでなく、こちらから声をかけて母集団を作れる

特に効いたのが「転居前向き75%」という属性です。地元の求職者に限定せず全国を母集団にできることが、地方立地というハンデを打ち消しました。

導入後の成果

正社員の製造スタッフ求人に対し、43名の応募が集まりました。その中から内定に至ったのは、次の人材です。

  • 国籍:ベトナム
  • 年齢・性別:25歳・男性
  • 在留資格:日本人の配偶者等(就労時間・職種の制限なし)
  • 日本語レベル:単語で話せるレベル(N4未満相当)
  • 居住地:静岡県藤枝市(転居可)
  • 経験:来日6年、板金・溶接の現場で金属加工に従事
  • 雇用形態・月給:正社員/月給29万〜37万円
  • 入社予定:2026年10月1日
  • 応募経路:直接応募

この採用で注目したいのは、応募者43名の構成です。就労制限のない在留資格(永住者・定住者・日本人の配偶者等)は8名(18.6%)で、母集団全体の中では希少な層でした。一方で在留資格のトップは技術・人文知識・国際業務が19名(44%)。「工場=特定技能・技能実習」というイメージとは異なり、実際には技人国・特定活動・留学まで幅広い層から応募が入っています。求人票で在留資格を絞り込みすぎないほうが、母集団は太くなるということです。

さらに、応募者のうち静岡県外からの応募が33名(76.7%)。県内在住はわずか10名でした。地方の製造求人であっても、全国規模で母集団が作れることがデータで裏づけられた結果です。

採用が決まった人材は、日本語こそ単語レベルですが、6年の板金・溶接経験があり、段取りは体で覚えているタイプ。製造現場で使う日本語が限定的であることを踏まえれば、実務経験が言葉の壁を上回った好例といえます。配偶者ビザで生活基盤が日本にあるため、腰を据えて長く働ける点も評価されました。

担当者からのメッセージ

「正直に言うと、最初は日本語が話せない方を製造ラインに入れるイメージが持てませんでした。安全に関わる仕事なので、会話ができないと難しいだろうと。ただ実際に応募をいただいて面接をしてみると、彼は6年間ずっと金属を扱ってきた人で、こちらが図面や材料を見せれば話が通じるんです。『ものづくりの仕事には自信があります』と言い切ってくれて、必要な技術や資格も積極的に取りたいと。日本語のレベルより、現場で何を積んできたかを見るべきだったと考えを改めました。地元だけで募集していた頃は応募が数件でしたが、今回は全国から40件以上いただけた。母集団の作り方を変えるだけで、採用の選択肢はここまで広がるのだと実感しています」

まとめ:この事例から学べる3つのポイント

  1. 製造現場では「日本語レベル」より「実務経験」が効く
    現場で使う日本語は限定的です。日本語が単語レベルでも、6年の板金・溶接経験が言葉の壁を上回りました。日本語要件を上げる前に、「この仕事で本当に必要な日本語はどこまでか」を切り分けることが母集団確保の第一歩になります。
  2. 就労制限のない在留資格は希少層——見つけたら確実に押さえる
    応募43名のうち、永住者・定住者・日本人の配偶者等は8名(18.6%)にとどまりました。職種・時間の制限を受けずフルタイムで長く働ける層は母集団の中でも希少です。該当者が応募してきた際は、選考スピードを上げてピンポイントで射止める判断が有効です。
  3. 地方の製造求人でも、母集団は全国で作れる
    応募者の76.7%(33名)が県外からでした。ヨロワークの登録者は転居に前向きな層が75%を占めるため、工場の立地を理由に採用を諦める必要はありません。「地元で集まらない」は、母集団の設計範囲を広げることで解消できます。