英語スピーカーの配偶者ビザ人材をスカウト採用、日本語あいさつレベルでも決定——京都市のホテル客室整備J社の外国人採用成功事例

この記事のサマリー

  • 企業概要:京都市中京区でホテル・旅館の客室整備(ベッドメイク・チェッカー業務)を手がけるJ社
  • 課題:宿泊業の客室清掃は慢性的な人手不足。日本語要件を上げると母集団が細り、就労時間に制限のない人材にたどり着けなかった
  • 成果:日本語があいさつレベル(N4相当未満)のフィリピン人材(34歳・女性/日本人の配偶者等)を、スカウトから業務委託で採用。2026年9月10日就業開始。求人には74名・34の国と地域から応募が集まった

J社の事業概要

J社は京都市中京区を拠点に、ホテル・旅館の客室整備を請け負う企業です。ベッドメイクと、仕上がりを確認するチェッカー業務が主な仕事内容にあたります。

今回募集したのは、未経験から始められるベッドメイク・チェッカースタッフ。歩合制(時給換算1,200円)の業務委託で、自分のペースで稼ぎたい人に向いたポジションです。求人票では日本語要件を掲げるかわりに「英語がスピーカー」を前面に出した募集をかけていました。

導入前の課題

宿泊業の客室清掃は、そもそも応募が集まらない

インバウンド需要の回復で客室稼働は戻る一方、清掃・整備の現場は慢性的な人手不足が続いています。募集をかけても日本人の応募が伸びず、稼働に合わせて人員を積み増したくても手が打てない。宿泊業に共通する構造的な悩みです。

「日本語ができないと客室は任せられない」という前提

客室に入る仕事だからこそ、日本語能力を高く設定してしまいがちです。しかし要件を上げれば上げるほど母集団は細くなります。ベッドメイクとチェックという手順の定まった業務で、本当にN2やN3が必要なのか——ここを見直せていないケースは少なくありません。

就労時間に制限のない人材に、たどり着けない

歩合制でしっかり稼いでもらう前提なら、週28時間の制限がかかる留学生では設計が合いません。ところが在留外国人の求職者は留学生の比率が高く、応募を待っているだけでは制限のない層に当たりにくいのが実情です。

ヨロワーク導入の決め手

J社が外国人求人メディア「ヨロワーク」を選んだ理由は、母集団の広さと、そこから狙って人を指名できる仕組みでした。

  • 登録者40万人以上・246の国と地域:日本在住・就労資格ありの求職者が登録しており、国籍と言語の幅が広い
  • 就労制限のない在留資格が約70%:永住者・定住者・日本人の配偶者等など、時間や職種の制限を受けない層が母集団の主軸
  • スカウト平均応募率3.2%:条件に合う人を指名して声をかけられるため、待ちの募集で埋まらない求人に効く
  • 20〜30代が約70%:体力を使う客室整備でも中心層が厚い
  • 転居に前向きな登録者が75%/導入企業4,000社以上(全国47都道府県):通勤圏を広く見た設計ができる

今回とりわけ効いたのは、日本語要件を「英語スピーカー募集」に置き換えたうえで、スカウトで狙い撃ちした点でした。

導入後の成果

この求人には74名の応募が集まりました。内定に至ったのは次の人材です。

  • 国籍:フィリピン
  • 年齢・性別:34歳・女性
  • 在留資格:日本人の配偶者等(就労時間・職種の制限なし)
  • 日本語レベル:あいさつレベル(N4相当未満)/英語はスピーカー
  • 居住地:京都市左京区(転居不可・地元定着型)
  • 雇用形態・報酬:業務委託/歩合制(時給換算1,200円)
  • 就業開始:2026年9月10日
  • 応募経路:スカウト応募

注目したいのは応募者74名の中身です。在留資格の内訳は留学43名(58.1%)、特定活動8名、家族滞在7名、日本人の配偶者等6名、技術・人文知識・国際業務5名ほか。就労時間に制限のない永住者・定住者・日本人の配偶者等はわずか8名(10.8%)でした。歩合制でしっかり稼いでもらう前提なら、この薄い層をいかに拾うかが勝負になります。応募を待つだけでは埋まらない求人だったということです。

年齢層は20代40名・30代22名・10代7名・40代5名と、20〜30代で8割超。居住地は京都府48名・大阪府7名・滋賀県5名・東京都4名ほかで、京都市内の求人にもかかわらず応募の34.2%(25名)が京都府外からでした。宿泊業は通勤圏を広く見ている求職者が多く、エリアを絞りすぎない打ち出しが効くことがデータからも読み取れます。

採用が決まった人材は、日本語はあいさつレベルながら英語のスピーカー。配偶者ビザで就労時間の制限がなく、京都市内在住で転居予定もない地元定着型です。ベッドメイクとチェッカーという手順の定まった業務であれば、必要な日本語はあいさつと報告の範囲に収まります。企業側からのスカウトが、そのまま内定承諾まで進みました。

担当者からのメッセージ

「客室に入る仕事なので、正直なところ日本語ができる方でないと難しいと思い込んでいました。ただ、うちの現場を冷静に見返すと、ベッドメイクもチェックも手順が決まっていて、その場で必要になる日本語はあいさつと報告くらいなんです。それなら日本語ではなく英語で募集をかけてみようと切り替えました。今回の方は日本語こそあいさつレベルですが、英語で意思疎通ができて、京都に生活の基盤があって、就労時間の制限もない。長く入っていただける条件が全部そろっていました。応募を待つのではなく、こちらから条件の合う方を探して声をかけたからこそ出会えた一人だと思います。要件の書き方を変えるだけで、採れる人はここまで変わるのだと実感しました」

まとめ:この事例から学べる3つのポイント

  1. 日本語要件は「置き換える」と母集団が変わる
    「N◯以上」と書くかわりに「英語スピーカー募集」と打ち出したことが、そのまま採用につながりました。手順の定まった業務なら、Nレベルを不問にする設計が有効です。
  2. 歩合制で稼いでもらうなら、就労制限のない在留資格を狙い撃つ
    今回の応募74名のうち58.1%は留学生で、週28時間の制限がかかります。制限のない永住者・定住者・日本人の配偶者等は10.8%と薄い層。ここを取りにいくなら、待ちの募集ではなくスカウトが最短です。
  3. エリアを絞りすぎない。応募の3分の1は府県外から来る
    京都市内の求人でも応募の34.2%が京都府外からでした。宿泊業は通勤圏を広く見ている求職者が多いため、勤務地を狭く打ち出すと機会損失になります。