「せっかく採用した外国人が、短期間ですぐ辞めてしまった」
「給与や待遇は悪くないはずなのに、なかなか定着しない」
外国人採用を行う企業様から、このような悩みをよく伺います。
採用コストをかけて人材を確保しても、早期離職されてしまっては元も子もありません。
実は、外国人が辞める理由の裏側には、日本人従業員とは異なる「生活面での切実な悩み」や「将来への不安」が隠れていることが多いのです。
本記事では、在留外国人が抱える不安の本音を紐解きます。
さらに、「定着に成功した企業」に見られる共通点について解説します。
- 離職の背景
「すぐ辞める」原因の多くは、職場への不満よりも「日本での生活基盤の脆さ」。 - 最新データ
在留外国人が必要とするサポートは「住まい」「言語」「仕事」。 - 成功事例
リーダー制度の導入や、スキルを正当に評価する配置を行うことで、高い定着率と組織活性化を実現した企業。 - 共通点と解決策
定着のカギは「キャリアパス」と「対話」。彼らを単なる労働力ではなく、将来の戦力として扱うことが離職を防ぐ。
なぜ外国人はすぐ辞めるのか?調査で見えた「3つの不安」
「外国人はすぐ辞める」と感じる場合、その原因は職場環境だけではないかもしれません。
日本で暮らす外国人にとって、仕事以前に「生活の基盤」を作ること自体が高いハードルとなっています。
本当に求めているのは「住まい・言語・仕事」
2025年10月に実施されたRenxa株式会社の「在留外国人が日本での生活において必要と感じるサービス」調査によると、在留外国人が日本での生活において必要としているサービスのトップ3は以下の通りです。
- 住まい(物件探し、契約手続きなど)
- 言語(行政手続き、日常会話など)
- 仕事(就職、転職など)

出展元:【在留資格別に見る外国人の生活課題】共通する壁は「手続きや申請の複雑さ」!在留外国人504名が語る支援ニーズ | Renxa株式会社のプレスリリース
特に「住まい」に関しては、外国人というだけで入居を断られたり、保証人が見つからなかったりと、日本人以上に苦労するケースが後を絶ちません。
生活の拠点が安定しなければ、どれだけ良い仕事をしても「日本にいられない(帰国する・引っ越す)」という選択をせざるを得ないのです。
言語については、行政手続き等の制度的な壁が上位に入り、就労しながらの手続きの負担や言語理解の難しさが表われています。
技能実習生・特定技能外国人は「会社」を頼っている
同調査では「誰に相談するか」というデータも出ています。

出展元:【在留資格別に見る外国人の生活課題】共通する壁は「手続きや申請の複雑さ」!在留外国人504名が語る支援ニーズ | Renxa株式会社のプレスリリース
留学生などは「友人・知人」に相談する傾向がありますが、就労目的の在留資格(技能実習・特定技能など)を持つ人材は、「勤務先」を頼りにしている割合が高いことがわかりました。
つまり、彼らにとって会社は単なる雇用主ではなく、「生活面での相談役」としての役割も期待されているのです。
この期待に応えられるかどうかで定着率にも影響を及ぼします。
【事例】定着に成功した企業の「共通点」とは?
では、実際に外国人が長く活躍している企業はどのような工夫をしているのでしょうか。
外国人求人掲載サービス「ヨロワーク」の事例から、定着に成功している2社の取り組みと、そこから見える共通点を紹介します。
事例①:外国人リーダーの育成で定着率向上(清掃業)
商業施設やホテルの清掃管理を行う西新サービス株式会社様では、ヨロワークを通じて約40名の外国人を採用し、定着率を着実に向上させています。
- 取り組み
外国人の「リーダー」を育成し、現場のマネジメントを任せています。
また、募集段階から多言語対応を行うなど、受け入れ体制を整備しました。 - 効果
母国語で相談できるリーダーがいることで、新人の外国人も安心して働くことができ、組織全体の定着率アップにつながっています。
参考記事
▼採用40名超!定着した外国人リーダーが活躍する職場づくりとは?
https://www.yolo-japan.co.jp/yolo-work/case/24679
事例②:スキルを評価し、重要なポジションへ(建設業)
創業70年を超える邦友建設株式会社様では、若手不足の課題に対し、初めての外国人採用で「施工管理」という重要なポジションでの採用に成功しました。
- 取り組み
単なる作業員としてではなく、母国語と日本語の両方が話せる「バイリンガル」という能力を高く評価し、現場監督(施工管理)候補として採用しました。 - 効果
自身のスキルが正当に評価され、責任ある仕事を任されることが、高いモチベーションと長期的なキャリア形成(=定着)への意欲を生み出しています。
参考記事
▼バイリンガルの20代外国人を施工管理に抜擢|建設業の未来を拓く採用戦略
https://www.yolo-japan.co.jp/yolo-work/case/26107
成功企業の共通点
これら2社に共通しているのは、外国人を単なる労働力として扱わず、「将来の戦力」として向き合っている点です。
「リーダーになれる」「スキルを評価してもらえる」というキャリアパス(将来像)を見せること、そして母国語で相談できる相手や活躍できる役割という居場所を作ることが、定着の最大の秘訣と言えます。
「すぐ辞める」を防ぐために企業ができること
外国人が定着する企業になるためには、具体的なアクションが必要です。
そこで、すぐに行動できる対策をまとめました。
「住居」と「手続き」のサポート
入社時に最もつまずきやすいのが「家探し」と「役所手続き」です。
- 社宅や寮を用意する、または外国人可の物件を紹介する。
- 転入届や銀行口座開設に、日本人スタッフが同行する。
これらをサポートするだけで、彼らの不安は大幅に解消され、「この会社は親切だ」という信頼感と安心感が生まれます。
「困ったら言って」はNG。こちらから声をかける
西新サービス様の事例のように、相談しやすい環境を作ることは不可欠です。
しかし、リーダーがいない場合でも、企業側から「何か困っていることはない?」「部屋の使い方はわかる?」と積極的に声をかける姿勢(プッシュ型のコミュニケーション)が、孤立を防ぎ、離職の芽を摘むことに繋がります。
定着のための具体的なノウハウは、以下の記事でも詳しく解説しています。
▼外国人人材を定着させるには?離職率を下げるポイントと成功事例を紹介!
https://www.yolo-japan.co.jp/yolo-work/21142
まとめ
外国人は「すぐ辞める」のではなく、生活面や職場環境に不安を感じて辞めていきます。
そのため、「不安を取り除いて成長ステップを見せる」ことが、定着に繋がるポイントになります。
最後に、本記事の要点を改めてまとめます。
- 現状
外国人は「住まい」や「言葉」に大きな不安を抱えており、勤務先への依存度が高い。 - 共通点
定着に成功している企業は、生活支援だけでなく、リーダー登用やスキル評価など「キャリア」も支援している。 - 結果
生活が安定し、仕事にやりがいを感じれば、離職率は下がり、企業の核となる人材として定着する。
外国人は、母国を離れて見知らぬ土地の日本に来て働いています。
文化が違い、言語に対して不安も感じている中で、安心できる職場環境を提供することが、定着の第一歩になります。
ヨロワークでは、日本国内に住む36万人以上の外国人会員が登録しており、定着率の高い「永住者・定住者」の採用支援や、外国人従業員の生活をサポートするサービスも提供しています。
「採用してもすぐ辞めてしまう」とお悩みの企業様は、ぜひ一度「ヨロワーク」へご相談ください。
