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ヨロワーク編集部

「ヨロワーク」外国人採用ブログは、外国人実習雇用士の監修の下、外国人材の採用に関する情報を配信しています。最新動向や在留資格情報、文化の特徴、成功事例等の外国人採用の可能性と魅力をお伝えしています。

「2024年問題」に直面する運送業界において、ドライバー不足は早急な対応が求められる深刻な課題です。
その解決策として、2024年3月に「自動車運送業」が特定技能制度の対象分野に追加されました。

しかし、株式会社Azoopが行った最新の調査によると、この新制度に対する認知度は非常に高いものの、実際の採用に対しては「消極的」な企業が過半数を占めるという、複雑な実態が浮き彫りになりました。

多くの企業が足踏みをする理由は、主に「言語」「安全」への不安です。
では、その不安を払拭し、安全に外国人ドライバーを採用する方法はないのでしょうか?

本記事では、調査データから見える企業のホンネと、特定技能だけに頼らない「もう一つの賢い採用手法」について解説します。

  • 深刻な不足と認知
    運送会社の8割以上が人手不足を感じ、9割以上が「自動車運送業」の特定技能追加を認知。
  • 採用への壁
    一方で、約6.5割の企業が特定技能外国人の採用に「消極的」。最大の懸念は「日本語能力」と「運転技術」。
  • 解決の鍵
    海外から呼ぶのではなく、すでに日本に住む「永住者・定住者」等の採用が、言語やスキルの不安を解消。
  • 新たな選択肢
    特定技能に限定せず、国内の在留外国人に目を向けることで、即戦力人材の確保が可能に。

データで見る運送業の「特定技能」採用の実態

運送業界における外国人採用への関心と、現場が抱える懸念について、株式会社Azoopの調査(2025年9月実施)をもとに紐解きます。

人手不足は8割超で制度認知も9割超

まず、運送会社における「人手不足感」を感じている企業は83.7%に達しています。

また、外国人材の受け入れ拡大策である「特定技能への自動車運送業の追加」についても、96.3%という極めて高い認知度を示しました。

業界全体が「人手が足りない」「新しい制度ができた」ということは十分に理解している状態です。

「採用したくない」が6割以上

しかし、「特定技能外国人の採用意向」を聞くと状況は一変します。

「強く検討したい(3.8%)」「検討したい(31.4%)」を合わせても約3.5割にとどまり、64.8%もの企業が「あまり採用したくない」「全く採用したくない」と回答しました。

制度は知っているが、自社での活用には慎重になっている企業が大半であることがわかります。

なぜ消極的?現場が抱える「言語」と「技術」の壁

なぜ、ここまで採用に慎重になってしまうのでしょうか。
同調査で「採用障壁」として挙げられた理由の上位は以下の通りです。

「日本語能力や運転技術に関する懸念(66.2%)」

運送業は単にトラックを運転するだけでなく、荷主とのやり取り、無線での連携、緊急時の対応など、高度な日本語コミュニケーションが求められます。

また、事故のリスクと隣り合わせであるため、「日本の交通事情に通じているか」という点は譲れないポイントです。

特定技能制度では一定の試験合格が要件となりますが、それでも「海外から来日したばかりの人材」に対して、即戦力としての期待と不安のギャップが大きいのが現状です。

※特定技能制度の仕組みについては、以下の記事でも詳しく解説しています。

【運送・物流業界】外国人ドライバーが人手不足を解決!雇用メリットと注意点も解説
日本の運送業界では、近年人手不足が深刻化しており、さまざまな働き手が求められています。その中で、外国人がドライバーとして活躍できるのか、日本の運送業の現状を踏まえて徹底解説します。また、外国人ドライバーがもたらすメリットについても詳しく見て...

参考:株式会社Azoop、運送従事者への実態調査を実施。「特定技能外国人ドライバー採用」については6割以上が採用に消極的。一方で認知度96.3%、人手不足感83.7%。運行の安全性と現場摩擦が懸念材料に。|株式会社Azoopのプレスリリース

不安を解消する「在留外国人」という選択肢

ここで視点を変えて日本語能力の懸念を解消できる方法があります。
それは、特定技能(海外からの呼び寄せ)にこだわらず、「すでに日本に住んでいる外国人」を採用するという方法です。

日本には現在、約340万人の外国人が暮らしており、その中でも「就労制限がない」以下の在留資格があります。

  • 永住者
  • 定住者
  • 日本人の配偶者等

彼らは「就労制限がない」ため、日本人と同様にあらゆる業務に従事可能です(ドライバー業務も可能)。
そして何より、「日本での生活歴が長い」という大きなメリットがあります。

在留外国人採用が「ドライバー」に向いている理由

「永住者」や「定住者」などを採用ターゲットにすることで、先ほどの調査で挙がった懸念点の多くは解消できます。

①日本語能力の不安解消

日本で長年生活しているため、日常会話はもちろん、日本の商習慣や「阿吽の呼吸」のようなニュアンスも理解しているケースが多いです。
そのため、業務に関する教育をスムーズに教えることができます。

②運転技術・交通ルールの理解

すでに日本で生活し、日本の免許証を取得して日常的に運転している人も少なくありません。
日本の狭い道路事情や、交通マナーを肌感覚で理解しているため、一から交通ルールを教えるコストや事故リスクを大幅に低減できます。

③生活支援の負担減

特定技能外国人の場合、住居の確保や生活オリエンテーションなどの「支援」が義務付けられるケースがありますが、すでに日本に基盤を持つ永住者などは、そうした手厚い生活支援が不要です。

採用コストや工数の面でも大きなメリットがあります。

まとめ

運送業の特定技能採用には高いハードルを感じる企業が多いですが、採用ターゲットを変えることでその不安は払拭できます。

最後に、本記事の要点を改めてまとめます。

  • 現状
    運送業の8割強が人手不足だが、特定技能の採用には6割超が消極的。
  • 理由
    最大のネックは「日本語能力」と「運転技術」への懸念。
  • 解決策
    日本での生活が長く、言葉や交通ルールに慣れた「永住者・定住者・配偶者」の採用が有効。

「外国人は言葉が通じないから怖い」と諦める前に、まずは「日本に慣れている外国人」という層に目を向けてみてください。そこに、ドライバー不足解消の大きなチャンスが眠っています。

ヨロワークでは、日本国内に住む36万人以上の外国人会員が登録しており、その多くが「就労制限がない」永住者や定住者のため、言語やスキルの不安を最小限に抑えた採用活動が実現できます。

日本社会への理解が深い多くの外国人材が登録していますので、人材不足の課題解決に向けた一つの選択肢として、ぜひご活用ください。

外国人採用に関するご質問は「ヨロワーク」へお気軽にご相談ください。
https://www.yolo-japan.co.jp/yolo-work/