「特定技能(介護)」は、2019年に施行されて以降日本の深刻な介護人材不足を解消するための即戦力採用ルートになっています。
また、2024年以降の制度改正により、これまで禁止されていた「訪問介護」が条件付きで解禁されるなど、活用の幅が大きく広がっています。
本記事では、特定技能「介護」の最新の受入れ要件から、他の在留資格との違い、メリット・注意点までを網羅して解説します
特定技能「介護」の概要
特定技能「介護」の具体的な内容について詳しく知る前に、まずは特定技能「介護」が施行された背景とともに説明していきます。
特定技能「介護」とは?
特定技能「介護」とは外国人労働者が介護の分野で働くことを認めるための制度です。
特定技能「介護」で行える業務内容は幅広く、在留できる期間は最長5年まで可能です。
そのため、人材不足に陥っている介護業界において現在注目されている在留資格の一つ
です。

特定技能「介護」が施行された背景
特定技能制度は、国内人材の確保が困難な産業分野において、一定の専門性・技能を持つ外国人材を受け入れる制度です。
特定技能「介護」が施行された理由には、日本の介護業界における人材不足問題が関係しています。
介護業界での人材不足は深刻で2040年には約57万人が不足すると言われており、人手不足を解決するための1つの施策として、特定技能「介護」が介護業界に導入されました。

日本における外国人労働者の人口も年々増加しており、外国人労働者の受け入れは介護業界だけではなく日本全体の労働人口不足問題を解決する方法として注目されています。
特定技能「介護」の現状
2019年に施行されて以来、多くの外国人が特定技能「介護」を取得してきました。
ここでは、特定技能外国人在留者数の推移や国籍別についてご紹介します。
特定技能「介護」の推移
出入国在留管理庁の特定技能制度運用状況(令和7年6月末)によると、年々増加傾向にある特定技能「介護」の外国人は2025年6月時点で54,916人にも上ります。

その他の16分野の特定技能と比べても「飲食料品製造業」が一番多く84,071人、次いで2番目に多いのが「介護」です。
特定技能「介護」は介護業界において外国人を受け入れる際の主流な在留資格の一つとなっています。
特定技能「介護」の国別
最新のデータ(令和7年6月末現在)で特定技能「介護」の国別割合を見てみると、一番多いのはインドネシア人で、全体の約3割(29.6%)を占めています。
次いで多いのがミャンマー人(約27%)となっており、これまで主流だったベトナム人は3番目となっています。
割合を見てみると、東南アジアの人材が多く、母国で働くよりも多くの収入を得られることが要因だと考えられます。

特定技能2号に「介護」が無い理由
特定技能には1号と2号の2種類があります。その主な違いは就労可能な期間です。
1号は上限が5年であるのに対して、2号の場合は上限がありません。
また、2023年から「特定技能1号」のみだった9分野(ビルクリーニング、素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業、自動車整備、航空、宿泊、農業、漁業、飲食料品製造業、外食業)が新たに特定技能2号の対象に移行となりました。
唯一、特定技能「介護」が特定技能2号への拡大がされなかった理由としては、既に在留期間の上限がない労働可能な在留資格「介護」という在留資格があり、新たに特定技能2号へ拡大する必要がありませんでした。
特定技能「介護」で就労可能な業務内容
特定技能「介護」で就労可能な詳しい業務内容についてご紹介いたします。
受け入れるための条件や受け入れ可能な上限についても解説していきます。
特定技能「介護」の業務
特定技能「介護」で従事可能な業務内容は、大きく分けて「身体介護」と「支援業務」の2つになります。
①身体介護等
利用者の心身の状況に応じた入浴、食事、排せつの介助等
②支援業務
レクリエーション、清掃、傾聴等の実施、機能訓練の補助等
身体介護とは施設利用者が生活する際に行う行動に対する介護のことで、主に食事や入浴、排せつや服の着脱などが挙げられます。
支援業務とは施設利用者のリハビリやトレーニングの補助などをする業務です。
つまり、施設内で行うほとんどの業務への従事が可能であるということです。
また、特定技能「介護」では1人での夜勤業務や服薬の介助なども可能であるため、人手不足の事業所において非常に助けになる存在となります。
特定技能でも訪問介護が可能に
2024年度の制度改正方針により、特定技能「介護」の外国人が「訪問介護」に従事することが可能になりました。
この改正により、特定技能「介護」の外国人材でも利用者の自宅でケアを行う訪問介護を行えます。
具体的には、訪問介護、定期巡回、夜間対応型訪問介護、訪問入浴介護等に従事できるようになりました。
| 項目 | 内容 |
| 訪問介護解禁の背景 | 在宅介護ニーズの増加と、訪問介護員(ホームヘルパー)の不足。 |
| 主な要件 | ①介護職員初任者研修課程等を修了 ②介護事業所等での実務経験が1年以上 |
| 期待される効果 | 施設介護だけでなく、在宅サービスの維持・拡大が可能に。 |
また、受入れ事業所は、利用者・家族へ事前に説明を行うとともに、以下の事項を遵守しないといけません。
- 外国人介護人材に対し、訪問介護等の業務の基本事項等に関する研修を行うこと
- 外国人介護人材が訪問介護等の業務に従事する際、一定期間、責任者等が同行する等により必要な訓練を行うこと
- 外国人介護人材に対し、訪問介護等における業務の内容等について丁寧に説明を行いその意向等を確認しつつ、キャリアアップ計画を作成すること
- ハラスメント防止のために相談窓口の設置等の必要な措置を講ずること
- 外国人介護人材が訪問介護等の業務に従事する現場において不測の事態が発生した場合等に適切な対応を行うことができるよう、情報通信技術の活用を含めた必要な環境整備を行うこと
(参考)外国人介護人材の訪問系サービスへの従事について|厚生労働省
これまで特定技能は「施設」での勤務に限定されていましたが、この改正により事業者の選択肢が飛躍的に広がりました。
特定技能「介護」を受け入れる要件
ここからは、特定技能「介護」を受け入れる要件について、詳しく解説していきます。
特定技能「介護」を受け入れるための基準
特定技能「介護」を受け入れるためには省令などで決められている基準を満たさなければなりません。
受け入れ機関は以下の4つに注意して、特定技能「介護」の採用を進めていきましょう。
1.4つの基準を守る
(1)外国人と結ぶ雇用契約が適切であること、特定技能外国人の報酬の額や労働時間などが日本人と同等以上など(2)受入れ機関自体が適切であること、法令等を遵守し「禁錮以上の刑に処せられた者」などの欠格事由に該当しないこと、保証金の徴収や違約金契約を締結していないことなど
(3)外国人を支援する体制があること
(4)外国人を支援する計画が適切であること
2.2つの義務を守る
(1)外国人と結んだ雇用契約を確実に履行すること
(2)外国人への支援を適切に実施すること
3.1号特定技能外国人支援計画の作成する
出入国する時、公的な手続きをする時、日本でのトラブルがあった時など合計10種類の項目についての計画を作成しなければいけません。
以下が支援計画にて記載する項目です。
(1)事前ガイダンス
(2)出入国する際の送迎
(3)住居確保・生活に必要な契約支援
(4)生活オリエンテーションの実施
(5)公的手続等への同行
(6)日本語学習機会の提供
(7)相談・苦情への対応
(8)日本人との交流促進
(9)転職支援
(10)定期的な面談の実施、行政機関への通報
※1~3の内容に関して、受入れ機関・登録支援機関は、出入国在留管理庁長官に対し、各種届出を随時又は定期に行わなければなりません。定期的又は随時の届出を怠ると違反になります。
特定技能協議会に加入する
特定技能外国人の受け入れには特定産業分野ごとの協議会※の構成員にならなければなりません。
※協議会は特定技能の外国人が適正に就労できる環境づくりを目的にした団体です。
なお、特定技能「介護」の外国人労働者を初めて受け入れる場合は、在留資格を申請する前に「特定技能協議会」に加入する必要があります。
2024年6月14日以前は、初めて特定技能を雇用した日から4ヶ月以内に加入する決まりになっていましたが、現在では在留資格申請をする前に加入することが必須になりました。
(既に、加入済の場合は追加加入は不要)
(参考)特定技能ガイドブック
事業所受け入れ人数の上限
特定技能「介護」を用いて受け入れることのできる人数は常勤日本人社員の人数と同じです。
例:日本人社員が10人いれば、特定技能「介護」の外国人も10人まで受入れが可能
ちなみに、技能実習「介護」の場合は常勤社員4人に対して1人の採用しかできませんが、特定技能「介護」の場合は4人の日本人常勤社員に対して4人採用できます。
つまり、特定技能「介護」ではより多くの人材を受け入れることができます。
特定技能「介護」を受け入れるメリット
特定技能「介護」の外国人材を受け入れることで、3つのメリットがあります。
①新設の事業所でも受入れが可能
特定技能「介護」の外国人材は、新規事業所でも初年度から受け入れることが可能です。
他の在留資格(「技能実習」や「特定活動(EPA)」)では、事業所などの開設から3年以上経過や指導体制の条件があり、受け入れることが困難です。
このことから、特定技能「介護」は新設した初年度からでも受け入れることができ、人材確保の可能性を高めてくれます。
②人員配置基準の対象になる
介護施設では、入所者数に対して配置するべき従業員の人数を定める「人員配置基準」があります。
特定技能「介護」の外国人材は、人員配置基準の対象になります。
介護に関する他の在留資格(技能実習など)では、配属後6ヶ月経過しなければ人員配置基準に加えることができない制約があります。
そのことから、特定技能「介護」の外国人材を雇用することで、新しく立てた事業所であっても人員配置基準に加えられる大きなメリットがあります。
③特定技能「介護」1人で夜勤ができる
特定技能「介護」では、日勤だけではなく1人での夜勤も可能です。
同在留資格では、日本人従業員と同じ条件での勤務が認められているため、夜勤対象の従業員に含むことができます。
特定技能「介護」は、介護に関する他の在留資格と比べて働く上での制約が少ないため、人材不足を解決する即戦力として頼りになる人材です。
特定技能「介護」を受け入れるデメリット
次に、特定技能「介護」の外国人材を受け入れることで起きる可能性がある3つのデメリットをご紹介します。
採用コストが高い
特定技能「介護」で採用できる人材は知識や技能を持っている分、賃金が高くなる可能性が高いです。
また、海外から呼び寄せて受け入れる場合は、紹介会社への費用や渡航費用などが必要になります。
受入れ後も特定技能に関する対応や手続きがあり、そうした支援を自社で内製化せずに外注するとさらにコストがかさみます。
外国人材を雇用する際に、特定技能だけではなく「国内に住んでいる外国人」を雇用すると採用コストを大きく削減できます。
特に、日本人と同様に職種制限がない「永住者・定住者」であれば、日本文化にも慣れ、日本語レベルも高く、コストを抑えた即戦力を雇用できます。
転職が可能
特定技能制度では、実習や資格獲得が目的ではないため、他の在留資格と違い転職制限がなく、転職が可能です。
特に、特定技能は時間面や金銭面でもコストがかかることから短期間で転職されると損失が大きくなります。
そのため待遇や外国人が働きやすい労働環境を整え、できる限り長く働いてもらえるような環境づくりを心がけましょう。
日本語能力と現場業務のギャップ
特定技能の試験に合格しているとはいえ、日本語能力は「日常会話レベル(N4相当)」であるケースが多いです。
介護現場では、利用者様との細やかなコミュニケーションや、方言の理解、さらには「介護記録(申し送り)」の読み書きが求められます。
特に、専門用語を使った記録作成や、緊急時の状況報告において、日本人スタッフのフォローが必要になり、教育工数が想定以上にかかる可能性があります。
日本に長く住んでいる永住者・定住者なら、日本の生活習慣や方言にも慣れており、コミュニケーションがスムーズです。
初めて外国人を雇用する場合は、日本在住の外国人に特化したヨロワークなどの外国人採用支援サービスを利用してみましょう。
特定技能「介護」を受け入れる流れ
それでは、特定技能「介護」を受け入れるためには、どのような手順を踏めばよいのでしょうか。
以下に10のステップで解説していきます。
- 技能試験と日本語試験の合格確認・採用面接
特定技能評価試験(技能・日本語)と、基礎日本語試験(JLPT等)に合格しているか確認します。
(※技能実習2号修了者、介護福祉士養成施設の修了者、EPA介護福祉士候補者として4年間満了した者は試験免除となるため、それぞれの修了証書や評価調書等を確認します。) - 雇用契約の締結・健康診断の実施
外国人本人と特定技能雇用契約を結びます。併せて、本国または日本の医療機関で健康診断(個人受診)を受けてもらい、診断書を用意してもらいます。 - 特定技能協議会への「加入申請」【重要】
在留資格の申請時に「協議会の構成員であること(または加入申請中であること)」の証明が必要です。
雇用契約締結後、速やかに厚生労働省のシステム等を通じて加入手続きを行います。 - 1号特定技能外国人支援計画書の作成
職業生活・日常生活・社会生活上の支援プラン(支援計画書)を作成します。
(※登録支援機関に全部委託する場合は、委託契約を締結します。) - 事前ガイダンスの実施(3時間程度)【重要】
在留資格の申請前に、外国人本人に対して労働条件や活動内容を説明する「事前ガイダンス」を実施し、記録を作成します。(対面またはテレビ電話等で実施) - 在留資格認定証明書交付申請(ビザ申請)
地方出入国在留管理局へ申請書類を提出します。この際、ステップ③の「協議会入会等の証明」と、ステップ⑤の「事前ガイダンス実施記録」の添付が必須です。 - 在留資格認定証明書の交付(または許可)
審査が完了すると結果が通知されます。海外在住の場合は「認定証明書」が交付され、国内在住の場合は「在留資格変更許可」の通知が届きます。 - 査証申請・入国・空港出迎え(※海外のみ)
外国人が海外にいる場合は、現地日本大使館で査証(ビザ)の発給を受け、入国します。
受入れ企業(または委託先)は、空港から事業所(または住居)への送迎を行う義務があります。 - 生活オリエンテーションの実施(8時間以上)
入国後(または許可後)、就労を開始する前に、日本の生活ルールや行政手続きに関する「生活オリエンテーション」を実施します。併せて、転入届や口座開設などの同行支援も行います。 - 就労開始・行政手続き・定期届出
オリエンテーション終了後、雇用(就労)を開始します。
社会保険やハローワークの手続きを行った後は、継続的な支援を行います。
・定期面談(3ヶ月に1回): 本人と面談し記録を残します。
・定期届出(年に1回): 毎年4月〜5月に、過去1年分の支援実施状況などをまとめて入管へ報告します。
特定技能「介護」の取得要件
外国人が特定技能「介護」を取得するための4つの取得要件を解説いたします。
特定技能「介護」を取得する主な方法は以下の4つになります。
①介護技能評価試験と日本語試験に合格
②技能実習生2号からの移行
③介護福祉士養成施設を修了する
④EPA介護福祉士候補者の在留期間4年を満了
4つの方法について詳しく解説いたします。
①介護技能評価試験と日本語試験に合格
特定技能「介護」を取得する条件の一つに、以下の3つの試験に合格する方法があります。
- 介護技能評価試験
- 日本語能力試験(JLPT)N4レベル、または国際交流基金日本語基礎テストA2レベル
- 介護日本語評価試験
1.介護技能評価試験
厚生労働省が選定した団体によって運営されている試験です。
介護の基本・こころとからだのしくみ・コミュニケーションの技術・生活支援技術の計4つのカテゴリーから出題されます。
学科試験と実技試験があります。
2.日本語能力試験(N4レベル)、または国際交流基金日本語基礎テスト(A2レベル)
日本語能力試験とは日本語を母国語としない外国人の日本語能力を測るためのテストです。
日本語の文字や語彙・文法についてどの程度知っているか・それらの知識を実際のコミュニケーションでどの程度使えるのかを測ることができます。
日本語能力試験のN4は日常的な場面で、ややゆっくり話される会話なら、内容がほぼ理解できる程度です。
国際交流基金日本語基礎テストとは就労目的で日本にやってくる外国人労働者の日本語能力を測るためのテストです。ある程度の日常会話ができ、生活に支障がない程度の能力があるかどうかを判定します。
3.介護日本語評価試験
日本語能力試験とは別になる「介護日本語評価試験」は、「介護現場で支障なく業務ができるか」を確認することが目的であり、難しい文法や漢字の書き取りなどは出ません。
こちらの試験も厚生労働省が主催する試験で、介護の現場で使う日本語についての能力を測れます。
試験内容もCBT方式で、3つの科目にて問題が出されます。
・介護のことば(5問)
・介護の会話・声かけ(5問)
・介護の文書(5問)
※全15問
厚生労働省のサイトに、イメージ問題が掲載されていますので、受験前に対策をすることは可能です。
介護分野における特定技能外国人の受入れについて|厚生労働省
②技能実習生2号からの移行
2つ目は介護分野の「技能実習2号」から「特定技能の介護」に移行する方法です。
以下の条件で特定技能の介護に移行できます。
- 技能実習2号を「良好に修了」していること
実習計画に基づき、2年10ヶ月以上の実習を終えていること。 - 習得した技能が、従事予定特定技能1号の業務と関連していること
「実習で行っていた作業」と「特定技能で行う業務」に関連性が認められること。
「技能実習2号」を3年間良好に修了した外国人は、特定技能に必要な「技能試験」と「日本語試験」のすべてが免除されます。
「良好に修了」とは、技能検定3級(実技)に合格している、または実習先や監理団体による実習評価調書で、勤務態度や技能習得状況が適正であると認められることを指します。
上記の条件を満たしている場合は、介護技能評価試験と日本語能力試験(JLPT)が免除されます。
なお、「介護日本語評価試験」は免除されないため、注意しましょう。
技能実習2号から移行できる外国人は、3年間の実務経験があるため即戦力性が高く、実習先と同じ施設でそのまま特定技能社員として継続雇用されるケースも多いため、採用コストや教育コストを最も抑えられるパターンと言えます。
③介護福祉士養成施設を修了する
日本の「介護福祉士養成施設」(専門学校、短大、大学など)を卒業した留学生などが対象です。
これらの学校では、指定されたカリキュラムを通じて介護の専門知識・技術、および日本語能力を習得しているため、特定技能の各試験はすべて免除されます。
最大のポイントは、卒業時に国家資格である「介護福祉士」の試験に万が一不合格だった場合でも、帰国せずに「特定技能」へ在留資格を変更して日本で働き続けられる点です。
専門教育を2年以上受けているため、基礎知識がしっかりしており、将来のリーダー候補として期待できる人材層です。
④EPA介護福祉士候補者の在留期間4年を満了
EPA(経済連携協定)に基づき、インドネシア、フィリピン、ベトナムから来日し、候補者として4年間の就労・研修期間を修了した人が対象です。
本来の目的である国家試験(介護福祉士)に合格できなかった場合でも、4年間の実務経験を通じて十分な知識・技能を有しているとみなされ、特定技能への移行に必要な試験が免除されます。
現場経験が非常に豊富で、すでに日本の職場環境や日本語のコミュニケーションに深く適応しています。
特定技能として働きながら、再度国家試験の合格を目指す意欲的な人材も多く、現場の戦力として非常に頼りになります。
介護に就労が可能なその他の在留資格
外国人を介護職員として雇用する場合、特定技能「介護」以外にも3つの在留資格があります。
①在留資格「介護」
②技能実習(2027年4月より育成就労制度に移行)
③EPA介護福祉士候補者
特定技能「介護」を含めると4つのルートがあります。
外国人を受け入れるという意味では同じですが、それぞれ受け入れる目的や受け入れの流れが違います。

そこで、それぞれの在留資格についての特徴を解説いたします。
在留資格「介護」(国家資格保有者)
【メリット】
最大の強みは、「在留期間の更新制限がなく、定年まで働ける」点です。
日本人スタッフと同様に現場のリーダーや管理職を目指せるため、長期的なキャリア形成が可能です。
また、家族の帯同も認められており、生活基盤が安定しやすいのも特徴です。
特定技能のような支援委託費(ランニングコスト)がかからないため、長期的に見れば採用コストに対する費用対効果は最も高いと言えます。
【デメリット】
「採用難易度が高い」点が挙げられます。
日本の介護福祉士養成施設(専門学校等)を卒業した留学生などが主な対象となりますが、人数自体が少なく、争奪戦になっています。
また、専門職としての高い給与水準や待遇を用意する必要があります。
EPA介護福祉士候補者
【メリット】
政府間協定に基づく制度のため、身元が確かで日本語能力が高い外国人材を受け入れられます。
候補者は母国で看護学校を卒業しているなど基礎能力が高く、学習意欲も旺盛です。
国家試験に合格すればそのまま「在留資格:介護」へ移行できるため、将来の幹部候補として期待できます。
【デメリット】
国家資格「介護福祉士」の取得が目的で、研修期間が4年と長い特徴があります。
また、公的な手続きのため受け入れまでのハードルが高く、長期間の学習支援体制が求められます。
なお、以前は「4年で国家資格「介護福祉士」が不合格なら帰国」でしたが、現在は「点数次第で1年の滞在延長」や「特定技能への移行」等の救済措置があり、育成が無駄になるリスクは大幅に低減しました。
日本で学んでいる外国人のためにも、合格を前提とした指導が必須です。
技能実習(※新制度:育成就労)
【メリット】
未経験の若い人材の採用が容易にでき、一から教育して自社の理念や技術を浸透させやすい点がメリットです。
3年間の実習を終えれば、試験免除で「特定技能」へスムーズに移行できるため、長期雇用のための「入り口」として機能します。
2027年頃からは新制度「育成就労」となり、より特定技能への接続を重視した制度へ進化します。
【デメリット】
あくまで「育成」が目的のため、即戦力としての期待は禁物です。
また、監理団体への監理費が毎月発生するため、ランニングコストが高くなりがちです。
新制度「育成就労」では、一定条件下での「転籍(転職)」が可能になる見込みのため、以前より離職対策や労働環境の整備が重要になります。
これらのメリット・デメリットを踏まえた比較表が以下になります。
| 特定技能「介護」 | 在留資格「介護」 | EPA介護福祉士候補者 | 技能実習「介護」 | |
| 在留期間 | 上限5年 ※介護福祉士合格で「介護」へ移行可 | 無制限 (更新制・永住可能) | 4年 (合格で「介護」へ移) | 上限5年 (3年+2年) |
| 必要なスキル | 試験合格 ①技能試験 ②日本語試験 | 国家資格「介護福祉士」 | 候補者要件 ※看護学校卒業など (国により異なる) | なし (入国後、講習あり) |
| 日本語能力 | N4以上 | N2以上 | N3~5 (国により要件異なる) | N4以上 (入国時) |
| 訪問系サービス (訪問介護等) | 可能 ※事業所要件あり | 可能 (制限なし) | 不可 (施設系のみ) | 不可 (施設系のみ) |
| 受入れ制限 (配置基準) | 制限あり (常勤職員の総数まで) | 制限なし | 制限あり (常勤等の数による) | 制限あり (常勤数の10〜15%程度) |
| 人員配置基準への算入時期 | 就労開始から即時 | 就労開始から即時 | 即時算入可 ※学習支援体制等の要件を満たす場合 | 即時算入可 ※指導体制等の要件を満たす場合 |
| 夜勤業務 | 可能 (事業所の判断による) | 可能 (制限なし) | 可能 (習熟度による) | 可能 (習熟度による) |
| 主な目的 | 労働力 (即戦力) | 専門職 | EPA連携・育成 | 人材育成・国際貢献 |
各在留資格のメリットやデメリットを把握した上で、最適な在留資格の外国人材を受け入れていきましょう。
特定技能「介護」から在留資格「介護」への変更手続き
上記の比較表からもわかるように在留資格が5年である特定技能「介護」に対して在留資格「介護」は無制限で在留できます。
長期間の雇用が望めるため、受け入れ側からすると雇用したい人材ではないでしょうか。
そこで、どのような手順を踏めば、特定技能「介護」から在留資格「介護」への変更ができるかについて解説していきます。
特定技能「介護」にて3年以上の実務経験を積む
まずは、特定技能「介護」にて3年以上の実務経験を積まなければ次のステップに進めません。
この3年間の間に介護に関する知識や技能を高めましょう。
国家試験「介護福祉士」を取得する
この国家資格を取ることによって在留資格「介護」への移行が可能になります。
しかし、特定技能「介護」の在留資格は最長5年なので期限が切れないうちに早めに国家試験の取得を進め、在留資格「介護」を取得しましょう。
まとめ
特定技能「介護」について詳しく解説しました。
介護分野の特定技能外国人は年々増加傾向で、2025年6月末時点で約5.5万人もいます。
人手不足が深刻化する介護業界を救う1つの手として挙げられるこの制度は、業務内容の幅が広く比較的入社後すぐに働けるのが特徴です。
在留資格の「介護」を持つ外国人は競争率が高い傾向にありますが、外国人に特化している求人掲載サービス「ヨロワーク」であれば、「介護」や「特定技能 介護」の外国人が多く登録しており、採用することが可能です。
外国人材をご検討されている方は、お気軽にヨロワークへご相談ください。
ヨロワークのサービスを知りたい方はこちら>>

